農ある暮らしを目指して その15
一人で居ると先生との貴重な出来事を思い出してしまい涙が止まらない。
先週建築家の秋山東一先生がご逝去されました。7月31日も総合監修者として関わっていただいている弊社進行中の「農ある暮らしのデザイン」プロジェクトの現地打ち合わせに来ていただき方針を示していただいたばかりなのに、、、

初めて秋山先生とお会いしたのは2007年前職時代。当時松本で秋山先生が設計された宗亭さんご夫妻の住宅「飛曇荘」の施工を担当する事になり長野駅までお迎えにあがったのが初対面でした。当時私は入社8年目の現場監督で設計についての知識はほぼない状態でしたから著名な建築家とは知らず当時の社長から渡された秋山先生が描いた4枚のスケッチで建築するというやり方にいささか疑問を抱いていました。1





そして私はこの時の飛曇荘建築での体験をキッカケに2009年に始まる「秋山建築設計道場」に参加し設計の面白さと奥深さに気づき現在に至ります。
あれから17年。全国各地で仲間と共に多くを学びました。本当にたくさんの思い出があります。











現在弊社が進めている「農ある暮らしのデザイン」プロジェクトもきっかけは町の工務店ネット主催で2021年に秋山先生と造園家田瀬理夫先生との両講師で1年半開催されたA2プロジェクトで「土地と建築の関係性」を学んだ事が起点となっています。
そして秋山先生は弊社プロジェクトを楽しみにしていてくださり事ある毎にお電話をいただいたり現地に足を運んでくださりました。以下が私との最後のやりとりです。

秋山先生「佐藤、この中古住宅は建築とは言えない。この建物にオーダーを与えて建築にしなければいけないよ」
「道路側と南側隣地境界に塀を立てなさい!それで建築になるよ。大丈夫だよ」

秋山先生「南側隣地境界に建てる塀が一番大事だよ。なんで平面図に書いておかないんだよ!この塀にリフレインするように内部に壁を立てて東側客室に導くんだよ。ほら、いいだろ」
「アプローチから歩きながら斜めの壁越しにどんな風景が見えるか想像してみろよ!」

秋山先生「階段は空間の主役だよ。できるだけゆっくりとはじめに5段登ってしまおう!そこからは普通の階段で行けるよ!」「本当はここに吹き抜けがあったらいいけどね」
佐藤「先生、、、今からはちょっと無理っす、、、すみません」
秋山先生「まぁ仕方ないなぁ、、、でも大丈夫、よくなるよ」

秋山先生 本当にありがとうございました。 なんとか頑張って完成させます。
- 秋山先生も当時担当者の私を見て「こいつで大丈夫か?」と思われたとおっしゃってました 笑 ↩︎